音色って?の3回目です。
今回は体の使われ方を考えてみたいと思います。
前回記事は “二胡:右手 – 音色って何? – 2”
これまで色んな生徒さんを見てきて講師としての経験も積ませていただきました。
その中で発見できたことがあります。
僕が苦労してきたことが、人によってあっさりできたり、あるいは逆だったり…。
人によって体の使い方にはクセがあるようです。
ここからはレッスンの中でケースバイケースで指導する部分でもありますが、運弓のクセでいくつかのタイプが挙げられます。
1.拉弓(Π)の時の弓の速度が推弓(V)に比べて速い。
2.推弓(V)の時の弓の速度が拉弓(Π)に比べて速い。
3.弓の根元(手に近い時)の拉弓(Π)だけ速くなる。
4.弓の先端の推弓(V)だけ速くなる。
5.弓の根元(手に近い時)の推弓(V)だけ遅くなる。
6.弓の先端の拉弓(Π)だけ遅くなる。
全部が速くなっちゃうのは、基本練習で色んな速度で練習してくださいね。
どのタイプか?と、ひとつだけに当てはまるものじゃないと思います。
もちろん、これ以外のタイプもあって、ホントに人って不思議だなぁと思います。
上に挙げたクセが意味するものとして、過去記事の “速圧バランス” で言うと速度が上がる時の方が強い音が出るということです。
音楽において強弱はとても大切な表情を生む命とも言えるものですから、意図した強弱であれば良いのですが、例えば1.のタイプの人は推弓よりも常に拉弓時の音の方が強くなってしまうということになります。
ワリと良く見られるのが3.や6.タイプ。
3.タイプの人は拉弓時の根元の音が、常にfp(フォルテピアノ)のような音楽になったり、常にアタック音が目立ったりします。
6.タイプの人は弓の先っちょの音が常に細くなったり、音がなくなったりします。
3.の逆をやる人は、まずあまり見かけません。
難しいからです。
でもこの動作を意識した練習をすることで、拉弓時でも綺麗なクレッシェンドができるようになります。
速度について書きましたが、もう一つは弦に対する弓の圧力、そして更にもう一つ、弦に対する弓の角度。
そして更に更にもうひとつ、弾く弦の場所。
これらを変えていくと微妙ですが、音色も変わります。
それらをどうコントロールするか?が立体的な演奏と言えるでしょう。
この音の強弱や音色の変化について、また掘り下げていきたいと思います。
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