演奏の創造性 -2

演奏の創造性シリーズ第2回。
前回はこの創造性というものがセンスとか才能の類だけで片付けられるものではなく、勉強できるものだということでした。
ちなみに前回の記事 → 演奏の創造性 -1

鼻に指突っ込んでるよ〜

これを知れたのは、僕がグラフィックデザイナーだった経験が大きいです。
音楽をやる上でも、とても大きな武器になってくれています。

で、このデザイナーという職業、別にセンスとか才能でなったワケでも何でもありません。
同業者の方ならとてもよく知ってることなのですが、新卒でデザイン会社に入りたての人材は、全くもって使い物になりません。
デザイン会社を経営しているほとんどの方が言うことですが「仕事を教えながら育ててあげてるんだから、給料払うんじゃなくて、逆に授業料をもらいたいほどだ。」と言うくらいです。
新卒のデザイナーはみんなそんなモンです。

まず、何が美しくて、何が美しくないのかさえ、全く分からなかったのです。
僕の記憶の中でだけでして個人差もあると思いますが、自分の脳ミソのアンテナを育てるのに1〜2年。
美しいものが分かるようになっても、それを自分で新たに創出できるか?具現化できるか?が、ここから更に1〜3年。
さらに良いものを出し続けて行くには永続的な研鑽が必要になります。(まぁ何でもそう)
クライアントの依頼を反映することや、クライアントとのやりとりなどの社会勉強は、多くの会社員の方と同じです。

そして、人の感情に訴えるものは何か?とか、どんな表現のアプローチをすれば訴求できるか?という企画段階から考えるのは、アートディレクターというデザイナーを取りまとめる役の仕事になりますが、会社員を辞めフリーのデザイナーになった時にもやっていました。

その仕組みの大部分が音楽に応用可能でした。

理論が先にあるのではなく、人間が良いと直感で感じるものは、ある程度共通しています。
それを分析し、言語化し、整理し、体系化されたものが理論です。
理論先行で美しい、美しくないというものを理解しようとするのには無理があります。
まずは何が美しいと感じ、何が美しくないか?を感じることが大事です。
そしてそれは、誰でも既に大まかに持っている感覚です。
(細かくなると意見が分かれるのが難しいところなのですが)

作品や演奏への批評は誰でもできますが…あ!誤解がないように先に断っておきます。
専門的な批評家に、誰もがなれるわけではありません。
的確な言葉で分かりやすく人に批評を伝えるのがプロの方達の仕事ですので、言葉の選び方や伝え方など、プロの批評家と、ただ批評する人とは違います。
…話を戻して、批評は誰でもできますが、その解決策を自ら提案でき、且つ納得させることができるかどうかは大きな差です。

自分の良いと思う音楽の、新たな提案と説得。
とても経験のいる作業です。
そこを考えるのが創造性です。

デザイナーの下積み時代、その考える作業には『探して見つける』という連続でした。
これも繰り返していくことで、答えを見つけるまでの時間が早くなっていきます。

もう一つは先にも書いたように、すでに出ている良い答えをお手本とし、吸収する(見て、聴いて盗む)ことも重要でした。

吸収できるアンテナを育てること。
そして代替案を探せる根気。
その両方を繰り返すこと。
それらの作業を音楽でもすることに、抵抗や戸惑いはありませんでした。

正確に弾くだけではない、お手本通りに弾くだけでもない、創造性のある演奏。
また掘り下げていきたいと思います。

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8 Responses to 演奏の創造性 -2

  1. ちづる says:

    吸収できるアンテナを育てること…
    このことは何に於いても 大事だと思います。

    先に書かれているように 仕事をするのも然り
    楽器を演奏することにも然り 加えて重要なのは
    演奏を耳にすることに於いても然りなのです。

    確かに 持って生まれたその人なりの感覚や
    幼少の頃から培われた審美眼の様なものは存在します。

    ですがその人の心がけ次第では
    後天的に「探して見つける」ことは可能であると
    私も考えています。

    そしてひとりひとりがその方法について
    思考し続けること。

    説得と提案…加えるに創造性。
    この先のブログの展開が
    何やら楽しみで仕方がありません。

    • >>ちづるさん

      コメントもですし、更には記事内容にも共感していただいてありがとうございます!
      このシリーズ、一通りは書き終えたので、またtwitterから自動でツイートされた時などは、ぜひ読んでみてください!

  2. モスラ says:

    先生が身につけられた「探して見つける」ということ。
    二胡の奏で方ひとつにしても、先生が探して見つけた方法を、
    とても分かりやすく教えていただけて、
    探して見つけてない自分としてはアタマが下がる思いですが、
    本当に良い師を得たと、心から感謝しております。

    先生、いつもありがとうございます。

    • >>モスラさん

      こちらこそコメントありがとうございます。

      僕が探して見つけたものも、先人が見つけたものも、数あるアプローチのうちの一つです。
      それ以外にもアプローチはあるはずです。
      僕にも見つけられないものや、先人が見つけてこなかったものが、モスラさんに見つけられると思います。

      それが個性というものだと思っています。

  3. タツノコ says:

    こたに先生やっぱりスゴい先生です。
    こんなにもすばらしいお手本に出会えた幸せ!
    先生ついていきます!
    音楽だけでなく人生のお手本としても見習いたいです。

    • >>タツノコさん

      も…持ち上げすぎじゃないですか?(^_^;)
      正直書いててこんなに喜んでもらえると思ってなかったので、戸惑いながらもとっても嬉しいです!
      書き続けていく励みになります!
      ありがとうございます〜。

  4. じみ says:

    こりは勉強になりました。なんとなくナルホドと思いました。

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