音楽の知恵力

前回までで右手と左手の担う役割の概要を書きました。
今後その詳細も書いていきますが、その前に音楽を形成するものの概要も書きました。→二胡演奏、音楽は総合力
前回までの、右手左手交互に見て…じゃなくて(ヒジのヤツ、好きです)、その右手左手の項は主に『技』の項の一部として取り上げたので、まず『心』『体』『知識』『知恵』も書いていこうと思います。

今日は『知恵』。
練習を積んで技術が身についたら、今度はそれをどう適材適所で引き出していくと効果的なのか?を考えるのが音楽・演奏における知恵。
工夫する力。創造力。カッコ良く横文字でクリエイティビティ。スペルでCreativity。えっ?もういい?はいすみません。

音楽は数ある芸術の表現形態のひとつの手段です。
なので、この知恵=考えて生み出す、ということが僕が一番大事に思っていることです。

テレビである役者が言ってたのが印象的だったので覚えてます。
喜ぶという演技をする時、そこに自分の感情がなくても、その表情、その身振り手振り、その動きをすることで人には喜んでいるということが伝わる。と言っていました。
これは素晴らしい技術のなせるワザですね。
その役者さんはその技術も身につけていらっしゃるだろうし、知識としてもそれを蓄えてご自身のものにもされているのだと思います。
それを聞いた時、もっとすごいと思ったのは、そのフォーマット・セオリーを発見、もしくは開発した人だと思いました。

二胡を続けてきて感じたのは、伝統音楽なのだなぁということ。
そのフォーマットを、どう受け継いでいくか?になりやすいということでした。
もちろん全てのケースがそうではありません。
その曲に込められた意味を表現するのに、その役者さんが言ったのと同じように “人に伝える” という必要な表現方法を熟考されたものでもあります。
…が、それが唯一の正解ということでもありません。
これだと伝わらないよ〜。だと明らかな不正解ですが、これじゃなければ伝わらないという唯一のものはありません。

で、その力を育んでいくのは、音楽じゃないところからも吸収できる、勉強できる思考の受容体が必要だと思っています。
本や絵画、映画、など、人の創り生み出すもの全てから、それを勉強できますし、自分だったらどうする?というシミュレーションまでできれば、それは素敵な創造力に変わっていくと思います。
そしてそれは多分、誰しもが生活の中でやっていることなので、誰もが持っているものだと思うんです。
それを音楽や演奏でどう反映するかも考えられると、それこそが素晴らしいオリジナリティだと思います。

レッスンで教えるのは技術的なことが中心になります。
最初は弓の動かし方からですが、ある程度レベルが上がってくると、この曲を弾く時にはこんな表情を出すべきなので、こんな弓の使い方でこんな音の表情をだせると良いですねという具合です。
そこで、ひとつの弓の表情の出し方を覚えることになります。
その段階になったら、その時そこに付け加えて言っていることがあります。
これはひとつの弓の使い方なので、引き出しとしてどんどん蓄えていってください。
そうやって引き出しを増やしていったら、今度はその引き出しをどこでどうやって使うかを考えるのが個性ですから。
例えば楽譜ではフォルテと書いてあるのに、もしそこにピンと来なくて、ピアノの方が自分の胸にグッと来るなら、そこはそうした方があなたらしさが出るはずです。
といった感じです。
実際、中国人演奏家の中国曲も色々YouTubeで見れますが、ホントに皆さん一人一人違いますしね。
あるいは、流派で違ったり…。

そこまで入れ込んで二胡をやる、という感じにならない方もいるかも知れません。
まず技術的なこと、弾くことそのものが大変な方もいるかも知れません。
どの段階であっても二胡を楽しめているなら、素晴らしいことです。
先日も僕の教室から数人、二胡の仲間とも一緒になって合奏するイベントに出させていただく機会がありました。
みんなでひとつの目標に向かって、そこまでに練習して、披露する、ということに一つの達成感があったと思います。
みなさん楽しかったと思ってもらえたようで、僕も一安心です。
で、レベルが上がっていったら、その考えた個性を演奏に反映する楽しさ、これも味わってもらえたらい〜な〜。

合奏になると、その強弱をどう弾くかを統一しないとバラバラになっちゃうので、ソロに限ったことになりますが、その件もまた追々。
基本ソロの楽器なので、ソリストとしてどうやって個性を引き出すか?どうやって音楽や演奏を創造するか?
生徒さんの技術力も上げつつ、個性をつぶすのではなく伸ばす方へ、考える力『音楽の知恵力』も、ちょっとずつでも一歩一歩伸ばす方へ。
それが僕の課題でもあります。

あ、僕も練習しなきゃ。

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